カランメソッドっていう方法だと英語が4倍速で身につくらしいけど、具体的にはどんなレッスンなのかな?
スクールに入ってやってみたいけど、いまひとつレッスンの様子がイメージできなくて不安だな…
英語学習法の中でもかなり特殊な「カランメソッド」。
「4倍速で身につく」という気になるふれこみですが、実際のレッスンがどんな感じなのか、始める前は不安ですよね。
そこでこの記事では、カランメソッドのレッスンを200回以上受けた経験をふまえて、レッスンの具体的な流れを詳細に解説してみたいと思います。
「始めてみようかな」と思っている方の参考になればうれしいです!
なお、この記事では、主に1回のレッスンの具体的な流れを解説しますので、カランメソッドのメリットや効果、テキスト、スクール(オンライン英会話)などについてはあまり書いていません。そうした点が知りたい方は、こちらの記事をお読みくださいね↓
カランメソッドとは?
詳しい解説を始める前に、カランメソッドがどんな学習法なのか、ざっくりと見ておきましょう。
※こちらの動画も分かりやすいので、以降の解説と合わせてご覧ください。
メインは質問に即答するトレーニング
レッスンのメインとなるのは「先生の英語の質問に、即座に英語で回答するトレーニング」です。
具体的には、こんな感じです。
Do you want anything to eat at the moment?
Do you want anything to eat at the moment?
Yes? No?
↑2回高速で読まれる
(1回目はゆっくりめの場合もあるが、2回目は高速)
Yes, I …
Yes, I want something to eat…
↑先生が回答をリードする
want something to eat…
at the moment.
at the moment.
このように、質問に対し、先生のリードに乗っかりながら即答していくのがカランメソッドの特長。これを繰り返すことで、英語で考える力を伸ばすというわけです。
フルセンテンスで答えるなど、回答の仕方にルールがある
回答するときには、次のようにいくつかのルールがあります。
まず1つ目について、先ほどの「Do you want anything to eat at the moment?」の例で考えてみましょう。
通常の会話であれば、以下の回答も正解になりますが、カランではダメです。
「Yes, I want to eat something.」
(構文が違う)
「Yes, I want somthing to eat now.」
(at the momentをnowに言い換えている)
ちゃんと「Yes, I want somethnig to eat at the moment.」と答えなければならず、間違えると先生から指摘されます。
2つ目の短縮系を使うは単純。I amではなくI’mを使う、といった具合です。
3つ目ですが、例えば,「Do you speak Italian?」と聞かれたとき、たまたまイタリア語が話せたとしても、「No, I don’t speak Italian. I speak Japanese.」と答えるのが望ましいというものです。
こうすることで、否定文と肯定文の両方を練習することができます。
1回のレッスンのおおまかな流れ
では次に、1回のレッスンのおおまかな流れを見てみましょう。オンライン英会話を前提としているので全体で25分です。
- ステップ①挨拶・雑談・進捗確認(1分前後)
雑談については、ない場合もあります。
- ステップ②復習(10~15分前後)
学習済みの部分の復習をします。
- ステップ③新しい表現の練習(5~10分前後)
新しい表現(単語や熟語、文法)を以下の流れで学びます。
- 新しい表現の発音練習
- 新しい表現についての解説
- 新しい表現を使った質問・回答トレーニング
この3つの流れをいくつかの表現について繰り返していきます。
- ステップ④音読、ディクテーション(約5分)
学習済みの部分について、テキストを音読します。または、先生の読む英文を書き取る練習をします。
- ステップ⑤進捗確認・挨拶(約30秒)
今日のレッスンの進捗を確認したあと、終わりの挨拶をします。
時間配分を見ると分かりますが、前回までの復習、新しい表現の練習がレッスンのメインパートです。
この部分で、先ほど紹介した「先生の質問に即答するトレーニング」を行うというわけです。
それでは次から、それぞれのパートを詳しく見ていきましょう。
レッスンの詳細な流れ
① 挨拶・雑談・進捗確認(Small Talk)
挨拶と自己紹介
まずはじめは挨拶や自己紹介です。これはカラン以外のレッスンと同じですね。
オンライン英会話の場合、「Can you see me and hear me clearly?(ちゃんと見えますか?聞こえますか?)」という確認が入ることが多いです。
雑談
先生のキャラクターによりますが、ここで雑談がはさまれることがあります。
How are you today?
I’m a little bit sleepy now.
Oh, I hope you’ll have a good sleep tonight!
カランでは、雑談は短くするように決まっているので、この時間はとても短く、あっても30秒〜1分くらいです。
進捗確認
次に、前回までのレッスンで、テキストがどこまで進んだかを確認します。
OK, Before we start, let me check your progress. You’ve finished Stage3, paragraph 155. Last head word is “star”. Is this correct?
Yes, that’s correct.
カランのテキストには、「ページ番号」がなく、代わりに「パラグラフ番号」が書かれています。また、新出表現のことをhead wordと言っています。
これらを使って、上のように「ステージ3のパラグラフ155、最後の新出表現は”star”で合ってる?」のように聞かれます。
② 復習パート(Daily Revision)
ここからレッスンが本格的に始まります。はじめは復習で、Daily Revisionと呼ばれています。
前回までに学習済みの部分について、冒頭で紹介した質問・回答トレーニングを行います。
Let’s start Daily Revision.
Do you want anything to eat at the moment?
Do you want anything to eat at the moment?
Yes? No?
Yes, I want something …
I want something to eat at the moment.
to eat at the moment.
なお、復習するのは現在のパラグラフの6パラグラフ前からです。
③ 新出表現の練習パート(New Work)
復習が終わると、新しい表現(単語、熟語、文法)の学習に進みます。New Workと呼ばれています。
1つの新出表現について、発音練習 → 先生の解説 → 質問・回答トレーニング の流れで進んでいきます。
新出表現の発音練習
まず、新しい表現について、発音練習します。先生のあとに続いて発音します。
Please repeat.
“pleasant”
“pleasant”
“unpleasant”
“unpleasant”
新出表現についての解説
次に、先生が新出表現の意味や例文を解説してくれます。
Listen.
The word “pleasant” means good. The word “unpleasant” means bad. For exmaple, “Flowers smell pleasant.” but “Gas smells unpleasant.”
すべて英語で解説されるので、ちょっと難しいですが、先生がジェスチャーなどを交えて教えてくれますし、例文もあるので、わりと理解しやすいです。
新出表現を使った質問・回答トレーニング
そして、新出表現を使ったトレーニングをします。
Does gas smell pleasant?
Does gas smell pleasant?
No, gas doesn’t smell pleasant, …
No, gas doesn’t smell pleasant,
it smells unpleasant.
it smells unpleasant.
質問は複数出されることもあります。上の例では、このあと「Do flowers smell unpleasant?」と2つ目の質問が続きます。
そして、ひととおり質問・回答が終わると、次の新出表現に進みます。そして、発音 → 解説 → 質問・回答を行います。これを繰り返していくわけですね。
④ 音読(Reading)、ディクテーション(Dictation)パート
レッスンの最後の5分はテキストの音読の時間になります。
Let’s move on to the reading part. Please open your textbook. Your last progress is Stage3, paragraph149, ”winter”. So please start from next head word “precede”.
OK!
“precede” “follow”
Which day precede Wednesday?
Tuesday precedes Wednesday.
Does Thursday …
こんな感じで、1人でひたすら音読していきます。発音が違っていたりすると、適宜先生が指摘を入れてくれます。
なお、読み方のルールは次のとおりです。
⑤ 進捗確認・挨拶
最後に、今日の進捗確認とあいさつをしておしまいです。レッスン終了時間の30秒前くらいまで音読をするので、このパートはごく短時間です。
Your new work progress is Stage 3 paragraph 159, last head word is “take a photo”, and your reading progress is Stage 3 paragraph 152, last head word is “go out”.
OK! Thank you for taking my class. You did great work! See you!
Thank you so much! See you!
質問・回答のバリエーション
では次に、メインパートの質問・回答パートについて少し補足をしたいと思います。
質問・回答パートには、以下のようにいくつかのパターンがあります。事前に知っておくと安心です。
それぞれ具体例をあげて紹介しますね。
〈回答文がすべて決まっているもの〉
Do most children live with their parents?
→ Yes, most children live with their parents.
〈Yes、Noを選んで答えるもの〉
Do you like vegetables?
→ Yes, I like vegetables. / No, I don’t like vegetables.
(どちらを答えてもOK)
〈単語をうめて答えるもの〉
What’s you nationality?
→ My nationality is Japanese.
(日本人ならJapanese、イタリア人ならItalianを入れて答える)
〈最後に付け加えるもの〉
Do you study Spanish?
→ No, I don’t study Spanish. I study English.
(質問文にはないが「I study English」を付け加えなければいけない)
〈質問文の構文をほとんど使わないもの〉
What’s the defference between “new” and “young”?
→ The defference between “new” and “young” is that we use ”new” for things, whereas we use “young” for people.
最後の2つについては、質問文にはない文章をつくらなくてはいけない上に、回答自体は決まっている(自由に答えていいわけではない)ので、なかなか難しいですね。
なので、はじめは先生のリードに乗って答えるしかなく、復習のときに自力で答えるという形になることが多いです。
ただし、新出表現の解説の際に、先生がほぼ同じ文章を言っていることも多いので、それを注意深く聞いていれば答えられることもあります。
ステージ全体の流れ
それでは最後に、1回のレッスンの流れではなく、ステージ全体の流れを解説したいと思います。
ステージとは、カランメソッドにおけるレベルのことで、ステージ1から12まであります。
ステージの最後にステージ全体の復習がある
レッスンを30〜40回くらい続けると、New workが最後まで終わり、1つのステージが終わります。
ですが、そのあとすぐに次のステージに進むわけではなく、ここでステージ全体の復習を行います。
これは、Full Stage Revisionと呼ばれています。
Full Stage Revisionでは、Daily Revisionと同じように、質問・回答のトレーニングを復習していきます。ステージの全部を復習するので、結構時間がかかります。
なお、フルステージリビジョンのときは最後の音読・ディクテーションパートがありません。ずっと質問・回答のトレーニングをし続けます。
偶数ステージでは、1つ前の復習もする
さらに、ステージ2、4、6、…のような偶数のステージが終わったときには、1つ前のステージの復習もやります。
これは、Quick Stage Revisionと呼ばれています。
例えば、ステージ4の例で考えると、
ステージ4のNew Workが最後までいく
↓
ステージ3の復習(Quick Stage Revision)
↓
ステージ4の復習(Full Stage Revision)
↓
ステージ5のNew Workが始まる
という流れになります。
Quick Stage Revisionはその名のとおり、比較的短時間で終わります。テキストの質問・回答の中からいくつかピックアップして復習する形です。だいたいレッスン1〜2回で終わるイメージです。
なお、クイックステージリビジョンでは、テキストの質問が少しアレンジして出される場合があります。
まとめ:カランメソッドは質問・回答トレーニングを何度も復習して進んでいく
この記事では、カランメソッドのレッスンの流れについて、詳しく解説してみました。
主なポイントをあらためてまとめると、次のようになります。
カランメソッドのレッスンは、このように質問・回答トレーニングをテンポよくやっていき、生徒が話す割合も高いので、とても高密度です。「4倍速で英語が身につく」というスクールの触れ込みは言い過ぎだと思いますが、多くの人が効果を実感している学習法です。
ぜひ、このページも参考に、皆さんも挑戦してみてくださいね。