カランメソッドをやると、ふつうの1/4の時間で英語が身につくって聞いたけど、本当なのかな? どういう根拠なんだろう
実際にカランメソッドをやって短期間で英語が伸びたっていう調査とかあるのかな?
「通常の4倍の速さで英語が身につく」というふれこみのカランメソッド。「本当?」「誇大広告でしょ?」と思ってしまいますよね。
そこでこの記事では、この4倍速の真偽に迫ってみたいと思います。
公式の見解や大学の先生の見解に加え、実証研究の結果も見てみたいと思います。
先に結論をかんたんに紹介しておくと、「4倍速は根拠がないわけではないが、過度な期待をもたせる表現。『学習効率の高い方法』くらいに捉えるのがよい」という感じです。
では、詳しく見ていきましょう。
カランメソッドが4倍速の学習法と呼ばれるわけ
根拠は検定試験の学習時間
そもそも、なぜカランメソッドは「4倍速で英語が身につく」と言われているのでしょうか。
その根拠は、イギリスの「ケンブリッジ英語検定試験」の合格に必要な時間にあります。
カラン機構の公式見解によると、ケンブリッジ英語検定試験の中のPETというレベルに到達するのに、通常350時間かかるところ、カランメソッドであれば80時間で済むとされています。
この数値が約1/4であることから、「通常の1/4の時間で英語脳が身につく」「4倍速の学習法」などと宣伝されているわけです。
ケンブリッジ英語検定試験とは
さて、いきなりケンブリッジ英語検定試験というのが出てきましたが、日本人にはあまりなじみがないですよね。
この試験は、イギリスのケンブリッジ大学の一部門が実施しているもの。100年以上の歴史があり、国際的に評価を受けている試験の1つです。
リーディング、リスニングだけでなく、ライティング、スピーキングも含めた4技能を計測する内容になっていて、「英語の実践力」をはかる試験になっています。
PETは下から2番目のレベル
カラン機構は「1/4の時間で『PET』のレベルに達する」と言っているわけですが、この「PET」とは何なのでしょうか。
ケンブリッジ英語検定試験には、主に5つのレベルがあり、以下のようになっています。
略称 | 正式名称とレベル | 内容 |
---|---|---|
KET | Key English Test 基礎レベル | 簡単な場面で英語を使ってコミュニケーションを取る能力を証明する資格 |
PET | Preliminary English Test 初級レベル | 英語の基礎をマスターし、日常の実践的な英語力を持っている人を対象とする中級の資格 |
FCE | First Certificate in English 中級レベル | 英語を話す環境で自信を持ってコミュニケーションを取るために必要な英語力を持っていることを示す資格 |
CAE | Certificate in Advanced English 上級レベル | 高度な英語力を示す証明となり、大学や就職の準備に最適な資格 |
CPE | Certificate of Proficiency in English 最上級 | 最高峰の資格で、英語を卓越したレベルでマスターしていることを世界に示す |
このように、PETというのは下から2番目のレベル。TOEICでいうと550~785くらいになります。
上の表にあるように、日常生会話がある程度できるレベルというイメージですね。
これらが通常の1/4の時間で到達できるというのがカランメソッドの公式見解です。
つまり、ざっくり言えば、日常生活に必要な4技能が、通常の1/4の時間で、ある程度身につくということになります。
本当に4倍速で身につく学習法なのか
あくまでケンブリッジ試験においての話
ここまで見てきたように、通常の1/4の時間である程度の英語力が身につくというのは、「ウソ」というわけではないと言えそうです。
ただし、これはケンブリッジ英語検定試験のPETに到達できるという意味での話です。
つまり、実際の日常生活において、本当に話せる、聞けるかというと、必ずしもイコールというわけではありません。
実際、皆さんの中には、「英検の2級もってるけど、実践ではなかなか話せない…」といった人もいるのではないでしょうか。
かくいう私もそうです…
試験=実際の英語力とは限らないということですね。
大学の先生の見解
明治大学客員研究員である坂本美枝先生は、「カラン・メソッド『英語反射力』を鍛える奇跡の学習法」という本を書かれています。
この本の中で、先生は次のように述べています。
カランはスピーキングに特化したメソッドではあるが、「4倍速」で力がつくというのは、あくまでもケンブリッジ英検を念頭に置いた話で、必ずしもスピーキング能力が「4倍速」で、あるいは「4分の1の時間」で向上するとは限らないことは、頭に入れておくべきだろう。
カラン・メソッド『英語反射力』を鍛える奇跡の学習法 太字はブログ筆者
また、次のようにも述べています。
カランのレッスンはリスニングとスピーキングに特化しているため、授業中に生徒が集中して耳にし、また口にする英語の量は圧倒的に多く、その点で有利なのは確です。しかし、誰もが「4分の1の時間で」「4倍速で」というキャッチフレーズどおりにいくとは限りません。日本で学ぶ以上、ロンドンのカラン・スクールのように、レッスン外でも絶えず英語に触れられるわけではありませんし、受講頻度や復習の量にも個人差があるからです。
カラン・メソッド『英語反射力』を鍛える奇跡の学習法 太字はブログ筆者
というわけで、「4倍速」というのに一応の根拠はあるものの、強く期待できるものとは言えなさそうです。
日本における研究
ここまではカラン機構の公式見解を見てきました。次に、日本での研究結果を見ていきましょう。
TOEICのスコアが平均110点アップ
先ほどご紹介した坂本先生は、他の大学などと連携して、カランメソッドの実証実験を行っています。
実施方法は以下の通りです。
そして、このレッスンの前後にTOEICを受験させ、点数の変化を計測しています。結果は以下のとおりです。
なかなかすごい伸び方ですよね。
この実証実験で使われたオンライン英会話はQQイングリッシュなのですが、公式サイトでもこの成果を大きくとりあげています。
スピーキングテストの伸びはそこまでではない
ただし、この研究には注意すべき点もあります。
実は、この実証研究では、TOEIC以外にもTSSTというスピーキングテストの伸びも検証しています。
そして、その結果は、「レベルが上ったと判定されたのは21名中5名」だったそうです。上がっているのですから悪い結果ではないですけど、ちょっと微妙という感じですね。
ちなみに、QQイングリッシュのサイトでは、これについて取り上げられていません…
というわけで、全体としては、TOEICの成果はあったが、スピーキング能力も劇的に上がったわけではないというのが、本当のところのようです。
受講生自身はスピーキング向上を実感
なお、坂本先生は次のようにも書かれています。
受講生に対して行った受講後のアンケートでは、明らかにスピーキング能力の向上を実感している学生が多く、本人の感覚とテスト結果に開きが感じられた。スピーキングのテストは、受験する人の発音や話し方によっても評価が変わり、判定がひじょうに難しい。
カラン・メソッド『英語反射力』を鍛える奇跡の学習法 太字はブログ筆者
本人はスピーキングが向上したと思っているけれど、テスト結果はそうでもなかった、ということですね。
スピーキング能力をはかるのが難しいというのはある程度分かりますが、TSSTも歴史のあるテストなので、信頼性はそれなりにあると思われます。
やはりTOEICのスコアのほうだけ取り上げて、効果抜群だったと宣伝するのはちょっと違うのではないかなぁという気がしてしまいます。
結局、カランメソッドは効果があるのか、ないのか
4倍速は言い過ぎだが、効率的な学習
いろいろと見てきましたが、結局カランメソッドは効果のある学習法と言えるのでしょうか。
先ほど見てきたように、4倍速というのに数値的根拠はあるものの、それは試験を前提にした話です。また、学習環境などにもよります。
正直に言って、「4倍速というのは、ウソではないものの、一般の人に過度に期待をもたせてしまう表現」だと思います。
一方で、TOEICのスコアが大きく上がった事例があることなどをふまえれば、一定の効果のある学習法だということは言えそうです。
実際、カランメソッドのレッスンは、他の英会話レッスンに比べて、次のようなメリットをもっています。
こうした点をふまえれば、学習効率が高いメソッドということは言えると思います。
口コミを見ていても、効果を感じている人は少なくありません。
ですので、結論としては、「4倍速は言いすぎだが、密度の高い学習で、通常よりも効率的に英語が身につく」と捉えるのが妥当ではないでしょうか。
効果を上げるにはコツが必要
また、いくら効率的な学習法だったとしても、レッスンをただただ受けていれば、英語力が自然と伸びるというわけにはいきません。
特にカランメソッドの場合は、復習が重要。レッスンで習った新しい表現や、質問・回答の文章をしっかり復習して、自分の身に定着させることが重要です。
これは、坂本先生、スクール、実際の受講生、みな異口同音に言っていますね。私も同感です。
また、個人的には、フリートークなどの通常レッスンも並行して受けるべきだと思っています。カランメソッドで身につけた力を実践の場で活用する練習ができるからです。
このように、カランのレッスン以外の部分でも学習をしっかり行っていくことで、カランメソッドの効果が確実に得られるというわけです。
まとめ:4倍速は期待させすぎだが、カランメソッドは効果的な学習法
この記事では、カランメソッドの「4倍速の学習法」というふれこみの真偽にせまってみました。
やはり4倍速というのはちょっと言い過ぎ。はっきり言ってしまえば、英会話スクールの宣伝文句だということでしょう。
ですが、先ほども書いたように、密度の高い効率的な学習法であるとは言えると思います。
英語に魔法のような学習法はありませんが、効率的な方法はあります。その効果を最大限に発揮するために、しっかりとレッスンと自習を行っていくことが大切というわけですね。
私も一生懸命カランメソッドでがんばっているところです。ぜひ皆さんも挑戦してみてくださいね。
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